* シリコンV(5)声をあげよ! [コミュニケーションについて]
Posted on June 8th, 2009 by tomoya. Filed under 思った, 行った.
シリコンバレーのある企業のオフィスに訪問している。
担当の社員さんが一行を引き連れてくれている。
流れるような丁寧な説明が進む。
彼女は十分話したと満足して、まわりを見渡す。
東洋の顔をした人たちはみんな顔の表情がわかりづらい。しかし、怪訝そうな顔をしているわけではない。説明は十分に伝わっただろう。
いつもと同じように、ありふれた一言で新しいセッションをはじめる。
「さあ、みなさん、質問はありますか?」
このとき、さっと手を上げること人が何人いるだろうか。
手を上げて、彼女とスリリングなやりとりをできる人はどれくらいいるだろうか。
はっきり言って、日本人の集団というのは、この点に関しては、絶望的なほどダメである。
英語が苦手だからという話ではなくて、日本語での講演などに出ても事情は変わらない。
集団の中で手を上げて、みんなの目の前で話しはじめるということが苦手な人が多すぎるように思う。
ひとつ大切なことがある。質問は疑問ではない。
つまり、「わかりづらかった部分を、クリアにしてもらうための説明をもらうこと」が質問ではない。
相手の説明をきちんと聞いていると、必ず自分の考えとを照らし合わせてみれば、なにか、かみ合わないなと感じる溝があるずだ。
その溝をうまくつまみ出して、相手に差し出すことが質問なのだと思う。
そこから、スピーカーとその場でその溝を埋める建設的な対話がはじまるのが理想。
会社員時代の新人研修で、いろんな講師がやってくるたびに手を上げていたぼくをみて、同期の人が、
「よくそんなに質問が出てくるなあ」
とつぶやいた。
「ただ話を聞いていて、キノコのように生えてくるものじゃない。考えているんだ」
とたしなめるように言ったのを覚えている。ほんと、僭越ながらですが…。どきまぎ。
質問をするからには、いい質問をしたいです。が、千里の道も一歩から。
まずは、場当たり的な質問でもいいので、とにかく手を上げて、プレゼンターと会話する経験を積むこと。
質問は疑問ではないと言ったが、疑問があるなら、聞けばいい。
「○○の意味がよくのみこめなかったのですが、もういちど説明してもらえますか
I didn’t get the meaning of ~~. Could you explain that (to us) again?」
「結局、○○って何に役立つのですか?
So what is ~~ for?」
「○○は、××とどう違うのですか?
How does ○○ differ from ××? / Comparing to ××, what is a better feature/point/… of ○○?」
などが使いまわしの聞く表現だろう。
ぼくが、今回のシリコンバレー旅行中に訪問した企業先でも、ほぼこれに類する質問に終始してしまってように思う。
だけど、こんな質問ばかりでは、あまり発展的でない。もう少し面白くて場が活気だつような質問ができるように心がけていきたい。
たとえば、
「A社についての話はちょっと違うかなと思います。A社はマーケティングがすばらしかったから大ヒットしたという話でしたが、ぼくはA社は製品その物が他社のものよりずっと優れているからこそ成功したんじゃないかと思います。そこで、A社の製品と他社製品とのクオリティの違いについて、考えをお聞きしたいのですが?
I disagree with what you said on CompanyA. You said CompanyA did succeeded because their marketing strategy was great, but they seemed to made a great success because their product itself was apparently superiror than others. What do you think about the difference between the quality of their product and that of others?」
家でひとり、頭でゆっくり考えれば、如何ようにもこんな質問を思いつくことができる。
自戒と羨望の意を込めて書くが、こういう発言がその場でできるようになると、人から話を聞くことが本当に楽しくなると思う。
一方的な説明、まるで壇上の教授と頷くばかりの生徒という関係ではなくて、対応なパートナーとして深い議論に入っていくことができる。
それに、刺激的な質問があると、その場の空気ががらっと変わり、他の参加者にもとてもいい影響を与えることになると思う。
齋藤孝さん著書の「質問力」によると、いい質問の定義は、以下の3つ。
- 具体的かつ本質的
- 相手が話したいかつ自分が聞きたい
- 現在のコンテクストに沿うかつ相手の経験や過去のコンテクストに沿う
A社のプロダクトとマーケティングの例について考えてみると、自分の考えと相手の考えの差異を突いているわけで、
- 具体的である。(本質的かどうかは文脈によるが、相当些末なこと・重箱の隅を突くような質問でなければ、なにかしら本質的な話題に引っかかるだろう)
- 意見の相違点こそ、まさに自分の聞きたいことであり、相手にとっては説得しがいのある論点となる
- 意見の相違が何に起因するのかという視点が導入されれば、相手の経験や過去といった文脈も活用されることになるだろう
と、いい質問の条件にほぼ含まれるようになる。
いい質問者になるためのコツは、テレビでも読書でも友人との会話でも、「ここでどういう質問をしたら話題が広がるだろう」とちょこっと脳裏に浮かべてみる癖をつけることが一番だろう。
その際に、この3つのポイントを満たしているかと、少しばかり
そもそも意見なんてないよ、という分野もあるだろう。
突然「メンチ外野手の起用についてどう思いますか」と聞かれても、阪神ファンでもないかぎり、答えにつまるだろう。
人生は短く自分のコミットできる領域は狭い。
広大な世界のほとんどは自分に関係がないのであり、言ってしまえば、意見など持っている分野の方が珍しいともいえる。
そんなときには、ある比較可能な2つの論を提供してあげれば、どれもいい質問になりうる。
たとえば、
- 「あなたは10年前の著書では逆のことを述べていたが、どのような思考の変化があったのか」
- 「世間ではAの導入については賛成の意見が多いが、あえて反対する理由は何なのだろうか」
- 「あなたはずっと自分が被害者であるかの立場で意見を述べているが、加害者の立場に立ったとするとどういう風に感じるだろうか」
- 「メンチを起用するのでなく、ファーム送りにしてはどうか」
手厳しい感じの質問が多いですが、「AではなくB」というフォーマットはかなり応用が効く。
こういった基本文型を活用して、恐れることなく、自分の意見を延べ、相手との溝を述べ、埋める会話ができるようになってほしい(というか、ぼくが一番そうなりたい)。
シリコンバレー訪問の経験で、質問の大切さを特に意識した場面をいくつかリストしてみると・・・
- シリコンバレーカンファレンスの講演・パネルの後。ここで自分の意見を述べないと、「なぜあなたはアメリカまで来たのですか」になってしまう。
- PARCで、大量の遅刻者が出たため、ジョン・ナイツ博士と雑談して、持て余した時間を消費していたとき。突然のハプニングにも、大人の余裕で対応できるようになりたいものです。
- IDEO訪問ツアー。オフィスを移動しながら説明をうけたので、講義スタイルというよりは、ざっくばらんな会話スタイルで話をした。テンポよく質問を投げあえるリズム感も大事だったなぁ
- Dropbox訪問時。CEOのDrewさんがあまりにいい人すぎて、どんな質問もウェルカムだと言われたので、かえってとまどってしまった。
- よく存じ上げない参加者と車に乗っていたとき。サンフランシスコまでマウンテンビューからはおよそ40分もあったりする。この車内の会話でいい質問をすると、その人とすごく近づけた気がしてうれしかった。
などなど。
せっかく世界でも一流の企業に訪問し、そこで働くスーパーな方たちと話ができるわけだから、くれぐれも世間話やWikiにあるようなトークで時間を浪費しないようにしてくださいね > SVC2010参加者のみなさま!
(写真は、Flickrで見つかるいろんな人たちの叫び顔。金魚もシャウトしている)
目次
- はじめに
- 二度目のサンディエゴの空
- 会社組織を覗き込んだらそこは闇だった、シリコンバレーにはなにかあると思った [SVC参加について]
- エンジニアですか、それ以外のなにかですか? [自己紹介について]
- 声をあげよ! [コミュニケーションについて]
- ビジネスを走らせる [起業について]
- たとえリーダーはいなくとも [仲間について]
- 風向きは変わった。さあ、どうする? [時代について]
- 種をまく – 消えることのないもの
- 旅行記
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