* 男のかっこよさとはなんだろうか
Posted on February 2nd, 2009 by tomoya. Filed under 思った.
阿久悠さん「企みの仕事術」
阿久悠さんの著書「企みの仕事術」に、
かっこよさとみっともなさは表裏一体である
と書いてあるのを読んだ。 なるほどとうなずいたのと同時に、そもそも、
「かっこいい男ってどんな男だろうか」
そんな疑問をふと抱いた。
男のかっこよさについて、男たちはあまり口にしないし、女たちからもあまり語られなくなったようにと思う。
実に寂しいことである。 男らしさについて、阿久さんの言葉がものすごく胸に響いたので、3人のかっこいい男を例に、男のかっこよさについて整理しておきたい。
かっこいい男ケーススタディ(1) 沢田研二
別名、ジュリーである。この時点ですでにかっこいい。 昨年、祭りがありました。
ジュリーの数多くのヒット曲でも一際名曲なのが、『勝手にしやがれ』。阿久悠作詞です。
女が荷物をかたづけて、自分の部屋から出て行く支度をしているのを、
壁ぎわに寝がえりうって
背中できいている
男の歌である。ふられたことはわかっているが、出て行くなと引き留めることもできない。そんなみっともない失恋した男であるが、心の内で、
せめて少しはカッコつけさせてくれ
寝たふりしてる間に出て行ってくれ
と叫んでいる。
情けないのはわかっている。誰よりわかっている。
しかし、本人がそれを認めてしまっては、どうしようもない。誇りだけは失うまいとする気高さを感じる。誇り高きヒーローでありたいというその内面が、男をより輝かせるのである。
阿久さんの言葉を借りれば、
沢田研二はどんなに見苦しく振る舞っていても、その裏にひそむ「やせ我慢」や自分を偽悪的に見せて相手の気を楽にさせてやろうという、「やさしい心遣い」を感じさせる表現力を持っていた。
ということである。そんな沢田研二的かっこよさを図示化すれば、このようになる。

ジュリーの公式
おわかりいただけるだろうか。大切なのは、「みっともない」以前に、ルックスとプライドが兼ね備えられていることである。でないと、ただのだめな男でしかない。
しかし、このかっこよさはほとんど凶器である。武道館に一杯の女の子たちを全員絶叫させるくらいの破壊力を持つ。もう少し、凡百の男でもできるかっこよさはないのだろうか。
かっこいい男ケーススタディ(2) 西田敏行
西田敏行には、『もしもピアノが弾けたなら』という名曲がある。 恋をしている男の歌で、
もしもピアノが弾けたなら
思いのすべてを歌にして
きみに伝えることだろう
と、ピアノの演奏に託して、女性を口説こうというのである。しかし、
だけど ぼくにはピアノがない
きみに聴かせる腕もない
ので、
心はいつでも半開き
伝える言葉が残される
という哀愁感の漂う曲である。
こちらもやはり、みっともないけれどかっこいい男である。 しかし、ジュリーのようなシャープなルックスは問われていないし、状況もそれほど惨めではない。単に告白できていないだけである。これなら、私でもできる。
ポイントは、純であること、そして、不器用を自認していること。 そこで、

かっこよいの公式
「101回目のプロポーズ」で主役を演じた武田鉄矢氏のかっこよさも、この公式に含まれるだろう。しかし、不器用さというのは、阿久さんが、
不器用な男の奥底にある真の強さややさしさも理解されにくい世の中になった。
とおっしゃるように、あまり評価されうるものではない。
今の男は繊細なので、不器用であったりすると、
「ぼくはだめだ、ぼくはだめだ…」
自分を否定したり、自虐的になってしまう可能性もある。
ので、「自虐的にならない」という要素も加えておこう( ある言語では、!マークは、「〜ではない」という否定を意味するのです。便利なので使わせていただく)。 そこで、追加。

かっこよいの公式(改)
かっこいい男ケーススタディ(3) 河島英五
北河内(大阪府北部)の子らはみんな、3才の頃から「酒と泪と男と女」の
飲んで 飲んで 飲まれて 飲んで 飲んで
飲みつぶれて眠るまで 飲んで
を練習させられている。ので、私もよく愛唱してきたが、その英五氏に、阿久さんは『時代おくれ』という詞を書いている。
目立たぬように はしゃがぬように
似合わぬことは無理をせず
人の心を見つめつづける
時代おくれの男になりたい
というこんな男の曲である。上の公式の要素が随所に散りばめられている。
不器用だけれど しらけずに
純粋だけど 野暮じゃなく
そして、
ねたまぬように あせらぬように
飾った世界に流されず
そして、大切なのは、
上手なお酒を 飲みながら
一年一度 酔っぱらう
ちなみに、この詞の歌い出しは、
一日二杯の 酒を飲み
さかなは特に こだわらず
である。1日2杯までと決めておくことが、上手に酒を飲む秘訣だろう。
ちなみに、本物の英五氏は、上手にお酒を飲むことができず、
「阿久さん、これはかっこよすぎですよ。僕は、ぐでんぐでんになるまで飲みますから」
とおっしゃったそうである。私もどちらかと言えば、英五派なので気をつける必要がある。
まとめ
阿久悠氏が仕掛けた3人の男のかっこよさをまとめると、こうなる。

かっこよいの公式Final
だめな男でありながらも、みっともないと人から思われていても、不器用でも、不細工でも、…と「でも」ばかり続いても、
純粋で、卑屈にならず、自分に酔っても酒に酔わないそんな男がかっこよい。
ということなのです。
ところで、阿久さんは、
その後、四半世紀が過ぎ、僕が感じていた嫌な予感は的中し、金儲けを上手にした人物がかっこいい時代のヒーローとして祭り上げられる時代になった。 (不器用な)男たちにとっては、ますます生きづらい時代になった。
と言う。
これは何年前の発言でしょう?
しかし、今(2009年)は、生きづらいどころか、「絶滅したに等しい」のではないか。
フィリップ・マーロウやサム・スペイドなんてとうてい無理。
ジュリーになるには腹が出すぎている。
それはわかってる。
でも、男性たちよ、阿久さんの教えてくれた「かっこいい」なら実践できるのではないか。
「カン違い野郎」だと言われるのは怖いけれど、だからといって、かっこつけることを忘れると男は、どんどんかっこ悪くなる。ダサくなる。
女の子たちをふりむかせるために、ダンディズムよ、僕らの手にもう一度。
参考リンク:
- Amazon.co.jp 阿久悠「企みの仕事術」
- Amazon.co.jp 沢田研二「ロイヤル・ストレート・フラッシュ」
- Amazon.co.jp 池中玄太80キロ DVD-BOX
- Amazon.co.jp 101回目のプロポーズ DVD-BOX
- Amazon.co.jp 河島英五 酒と泪と男と女
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